シーマンシップトレーニングは現代の国際化社会に相応しい人材教育手段 * シーマンシップ:ここでは大型セーリングボート(日本ではヨットと呼ばれることが多い)の操船・航海術全般を指します。 1.背景と現実:King Of Sports ヨット先進国欧米において、昔からKing Of Sportsと呼ばれてきました。そしてそれは今も変わりません。 ・ 西欧が大きく発展してきた背景にはその時代の最先端技術の集大成としてのシーマンシップの発達がりました。 例1.ベネチア共和国の力の背景は当時のメイン交易路である東地中海航路を抑え続けたことにある。 例2.大航海時代、スペインとポルトガルの発展は優れた航海術抜きには存在しなかった。 例3.スペイン・ポルトガルに続き17世紀に覇権を握ったオランダ、このヨーロッパの小国が短期間にしても覇権を握ることができたのは突出した造船術にあった。 例4.イギリス、無敵艦隊との戦いでイギリスが勝利を収めた背景には、優れた艦隊行動を可能とした操船術。この勝利によりイギリスの時代が訪れる。 * このように、西欧の発達と航海術全般の発達には明瞭な相関関係があり、必然的に社会の指導層の多くは優れた船乗り(船長)でもありました。 * 勝海舟・坂本龍馬も近代航海術を学んだ船乗り! ・ 現代の欧米社会においてもその伝統が受け継がれています。 例1.ヨーロッパ王室のほとんどはヨットを所有、王室の人たちの多くが彼ら自身ヨットを操船する⇒ヨットは嗜みの一つ。 例2.かつて世界を制覇したイギリス、その連邦の名残であるコモンウエルスカントリーの大都市には必ずといっていいほどロイヤル(王室)ヨットクラブが存在。 例3.上記(コモンウエルス)を含め欧米大都市に存在するヨットクラブ、例えばアメリカスカップで有名なNYヨットクラブ、は国際的リーダー達の社交場でもある。 2.シーマンシップとリーダーシップの関係 シーマンシップ発達の過程:乗り組む船を選ぶ、すなわち船長を選ぶのは乗組員のほうであり、船長が乗組員を選ぶのではなかった。 陸と海の大きな違い、それは海では妥協の余地がないということ。例えば、嵐がやってきたときに、陸ではとりあえず避難して嵐をやり過ごすことができるが、海では避難する場所などない。優れた船長・シーマンシップだけが頼りとなり、そこには妥協の余地は無い。乗組員の立場からは優れた船長の船に乗り組むことが自分の安全と直結しているのである。出航した後も同様、確かに船長には乗組員に対する絶対的な権力が与えられるが、それも乗組員が船長の力量を認めていることが前提、有名なバウンティ号の反乱のように船長が見限られるとクルーは反乱をおこす。 経営とシーマンシップ 上記の船長と船員の関係は現代の企業組織にも多くが当てはまる。優れたリーダーがいない組織は衰退、優れたリーダーを生み続けることが組織の発展に直結するのは言うまでもない。 シーマンシップトレーニングは妥協の余地のない海での生存術として発達、その根幹は徹底した論理的思考回路を日常的に働かせることにある。 すなわち・・・ ・ 取得可能なあらゆる情報(海況、天候、備蓄を含む船の状態、クルーの状態)を常にアップツーデートで取得、迅速に最善の判断を行い続ける。 ・ クルーの能力を最大限に引き出し、チームとして最も効率よく航海を続ける。 これらはそのまま組織におけるリーダーに求められる役割です。 3.社交術としてのシーマンシップ 経営のもう一つの大事な要素、それは昔も今も変わらず、そして今後も変わることのないことである「社交術」、特に組織リーダーの社交術にある。 企業活動がますます国際化する現代社会において、世界各地のリーダー達との間に良好な関係を築きあげる社交術は必須となる。 前述の通り、欧米各国の大都市には必ずといっていいほどヨットクラブが存在、各国のトップリーダー達の社交場ともなっている。 * オラクル・AT&T,バージン・・・現実として世界的有力企業のリーダー達にはヨットマンが多い 各国のリーダー達と親密な個人的関係を築きあげる最良・最短の方法の一つ、それは当該地域のヨットクラブのメンバーになることにある。 そして、メンバーになるにはシーマンシップを身につけたヨットマンであることが求められる(さもなければ、猿真似をする愚か者と馬鹿にされる・もちろん表面的にはそんなことはおくびにも出さないが・・・)。 4.プログラム ウインドバレーセーリングスクールはISPAスタンダードに基づくシーマンシップトレーニングを総合的・体系的に行います。 世界各地で行われる各種トレーニングを通じ、組織リーダーの養成をお手伝いいたします。 5.チームワークビルドアップ/コーポレートセーリング リーダー養成と合わせ、チームワークビルドアップとしてもシーマンシップトレーニングは最適。 クルーの役割、それはリーダーであるスキッパーに現場情報を継続的にアップ、スキッパーは各クルーからの情報と独自の情報に基づき新たな行動を判断、コマンドを発する。一旦コマンドが発せられたならば、クルーは各自の意見と異なろうともその指示に従って全力を出す。 *日本のヨット教育の現場でよく見受ける間違い、それは単にスキッパーは全能であり、スキッパーに意見を出すのは差し控えるべきということ、これは大きな間違い。 *クルーの大きな義務の一つ、それはスキッパーに情報を提供することにあります。 このように、シーマンシップ教育はリーダーシップ教育のみならず、良好なチームワークを築きあげる手法としても大変有効です。 欧米ではコーポレートセーリングプログラムとして定着しています。 |